【書評】作家にとってのバイブル? 困った時の『ミステリ辞典』
- 2020.05.06
- 書評

どうもどうも、さかいです。^^
今回は書評です。
ご紹介するのは『ゲームシナリオのためのミステリ辞典』
ちなみに『ゲームシナリオのための』とは謳ってますが、ゲームとか全然、関係ないです。w
とにかくミステリのシナリオやお話を書いてみたい! そんな人にとっては頼れるアイテムになること必至です。
一言で表すなら
作家にとっての虎の巻
です。(笑)
総評は
★★★★☆
といったところでしょうか。
■こんな人にオススメ!
・ミステリー作品初心者
・創作活動をしていてネタを常に探してる
・たくさんのミステリー作品を読み漁りたいが時間がない
ミステリー作品初心者
本書は読む側、作る側、両方にとって強力な指南書になるでしょう。
たとえば毒殺する場合は、どんな例があるかとか密室トリックにはどんな種類があるかなど項目ごとに説明されてます。
あとは心理トリックやアリバイ崩し、凶器や足跡などなど。
まさに辞典。ネタの宝庫といえるでしょう。
ページの都合上、決して奥深く事細かに解説されているわけではありませんが、その分、広く浅く知識をつけるには十分。
筆者のような、あまりミステリーに触れてこなかった人、これから触れたいと考えてる所謂、にわかミステリファンにとっては心強い味方です。(笑)

創作活動をしていてネタを常に探してる。
本書はネタ探しにも一役買います。
トリックだけではなく多岐の作品に渡っても網羅してるので、たとえば、このトリックにはこの作品がみたいに実際、それが用いられた作品や映画にまで言及しております。
なので、○○のジャンルやシチュエーションのことについて詳しく知りたかったら、○○の作品を参照してねみたいな。
言ってみれば、ハローワークの窓口対応みたいな。(笑)
でも、これって結構、貴重です。
たとえば実際、こんなトリックを自分で考えたんだけど他に使ってる作品って何かあったかな?とか。
そういった際に作品タイトルだけでもわかっていれば、どんどん自分から積極的に調べにいったり読んだりできるわけですよね。
逆に全然、知識がなければ、きっとその作品には一生、出会うことはないでしょう。w
本やアイデアも一期一会。
知ってるのと知らないのとでは大違い。
それによって模倣するとまではいかなくても、何かしらインスピレーションを受けたり参照したりと結構、役立ちます。
なので何かネタに困った時には重要な戦力になること受け合いです。
たくさんのミステリー作品を読み漁りたいが時間がない
前述したように本書はミステリー作品にとってのハローワーク。
同時にソムリエでもあります。
様々なミステリー作品の紹介所という一面も持ち合わせてます。
世の中にはたくさんのミステリー作品が出回っていて、とてもじゃないけど全部読んでなんかいられない。w
ブックオフをさまよってるだけでも凄い量なのに。(笑)
それでいて、中にはビックリするぐらい質の低い作品も現実問題として数多く存在してます。
(いや、わたしごときが言うのも何ですが、いち読者目線で見てみて本当にプロが書いたのかって思える作品が殆どです。^^;)
そんな駄作(あ、言っちゃったw)に貴重な時間やお金を取られるなんて馬鹿馬鹿しい。
どうせ読むなら確実にためになる、もしくは面白い作品に時間を使いたいものです。
そういった意味でも本書は目的に合った作品をピンポイントで教えてくれます。
少なくとも期待外れや駄作を掴まされることはないでしょう。

■オススメしない人
・ミステリー上級者
・粗を探すのが好き
・ネタバレされたくない
ミステリー上級者
本書はあくまで初心者仕様。
既に多くのミステリー知識を身につけている、所謂、マニアの方、上級者にとっては無用の長物といえるでしょう。
きっと逆に物足りなさを感じてしまうはずです。
他にもっと有効な本や資料があるはずなので、そちらに時間を使いましょう。
粗を探すのが好き
何ごとにも言えることですが完璧などありえません。
できるだけ注意深く、矛盾がないよう調査し解釈し、構成を考えたつもりでも所詮は人間のやること。
必ず粗のようなものは出てきます。
故に完全犯罪など存在しない。(爆)
精密機械の方が壊れやすいように、その中身が複雑であれば複雑であるほど、矛盾や突っ込みどころが露呈します。
ミステリなんて、その最たるもの。
逆に矛盾あってのミステリ。
それらを許容できる方のみが楽しめるジャンルと言えるのではないでしょうか。
※ちなみに創作ではアリバイや凶器などから捜査を行っていくのに対し、実際の犯罪捜査は被害者の血縁や人間関係などから着手していくそうです。
重箱の隅をつつくのが好きな方は、くれぐれも注意です。w
ネタバレされたくない
これ、なにげに一番、重要です。(笑)
本の性質上、仕方のないことですが、本書は各項目ごとに盛大に犯人は○○みたいなネタばらしを平気でやってのけます。w
万が一にも、これから、あなたが読もうとしてる作品が、そこに含まれてたりすれば、それこそ大惨事。(笑)
致命傷にもなりかねないので、ネタバレには重々、注意して取り扱うことをオススメします。

いかがでしたでしょうか?
色々、触れてきましたが、本当、ミステリって奥が深い。
手品なんかと一緒で誰かが画期的なトリックを思いつけば、皆がそれを追随してどんどん発展していってやがては使い古され廃れていく。
日々、その繰り返しなんだなって。
なので、やれることは自ずと狭まっていってしまう。
読者の目も肥えていきますからね。ちょっとやそっとのトリックじゃ驚いてもくれない。
ましてや、これだけテクノロジーの発達した世の中です。
逆にその便利さが犯罪トリックにとっての足枷になるという。(笑)
ホームズの活躍していた時代だったからこそ当たり前にできていたことが、現代ではできなくなってしまってる。
舞台が現代である以上、ハイテクを利用したトリックなんてのも積極的に取り入れていかなければならないのかもですね。
筆者の敬愛してやまないアガサ・クリスティーなんかのトリックは、あらゆるジャンルを超えて今でも影響を与えまくってますが、それも今となっては王道。
当時は皆が驚いたトリックだったはずなのですが、今じゃ、あーやぱりね。ですもんね。(汗)
ジャンルの中のひとつとしてカテゴライズされてしまう有り様です。
少し話は脱線しましたが、皆さんもいかがでしょう?
これを機にミステリの世界に足を踏み入れてみませんか?^^
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