【書評】ミステリ小説の元祖? シャーロック・ホームズのルーツ? 『モルグ街の殺人』を読んでみた感想と批評
- 2021.05.05
- 書評

どうも、さかいです!
ところで皆さんはミステリ小説は好きですか?
今回は、そんなミステリ小説の元祖とも呼べる『モルグ街の殺人』について、個人的に読んだ感想を独断と偏見で語っていきたいと思います。^^
主なあらすじ
パリに長期滞在している、名前が登場しない語り手は、ある日モンマルトルの図書館で、没落した名家の出であるC・オーギュスト・デュパンという人物と知り合う。
語り手は、幅広い読書範囲と卓抜な観察力、分析力を持つデュパンにほれ込み、やがてパリの場末の古びた家を借りて一緒に住むことになる。
デュパンは、ある晩、街を歩いているとき、語り手が黙考していたことをズバリと言い当てて語り手を驚かせたが、その推理過程を聞くと非常に理にかなったものであった。
そんなとき、ある猟奇殺人の新聞記事が二人の目に止まる。
「モルグ街」のアパートメントの4階で起こった事件で、二人暮らしの母娘が惨殺されたのだった。娘は首を絞められ暖炉の煙突に逆立ち状態で詰め込まれていた。
母親は裏庭で見つかり、首をかき切られて胴から頭が取れかかっていた。
部屋の中はひどく荒らされていたが、金品はそのまま。さらに奇妙なことに、部屋の出入り口には鍵がかかっており、裏の窓には釘が打ち付けられていて、人の出入りできるところがなかった。
また多数の証言者が、事件のあった時刻に犯人と思しき二人の人物の声を聞いており、一方の声は「こら!」とフランス語であったが、もう一方の甲高い声については、ある者はスペイン語、ある者はイタリア語、ある者はフランス語だったと違う証言をする。
この謎めいた事件に興味をそそられたデュパンは、伝手で犯行現場へ立ち入る許可をもらい、独自に調査を行う。語り手は新聞に発表された以上のことを見つけられなかったが、デュパンは現場やその周辺を精査に調べ、その帰りに新聞社に寄ったのち、警察の表面的な捜査方法を批判しながら、語り手に自分の分析精神を交えつつ推理過程を語りだす。
Wikipediaより
執筆された背景
エドガー・アラン・ポーが「モルグ街の殺人」を書いた当時は、近代的な都市の発達に従い、犯罪が人々の興味の中心に据えられるようになった時期であった。
ロンドンはこの時期に最初の専門的な警官隊の体制を整えていたし、アメリカ合衆国の諸都市では警察の科学的な捜査が注目され、殺人事件と犯罪者の裁判の記事が各紙で読者をひきつけるようになっていた。
ポーはおそらくフィラデルフィアにおける生活の中で都市をテーマとすることを着想し、このテーマは「モルグ街の殺人」確立された後、「群集の人」など以後の作品にも繰り返し使われることになった。
また「モルグ街の殺人」以前にも、ポーはエッセイ「メルツェルの将棋指し」や、短編「週に三度の日曜日」など、分析を主要なモチーフとした作品を書いており、「モルグ街」はこれらの要素をさらに推し進めて書かれたのだと考えられる。
Wikipediaより引用

さて、作品を読んでみた感想ですが、
古典としては優秀。
現代のミステリ小説としては凡作。
といったところ。
というのも、やや理屈っぽすぎるのと結末がなんとも雑。^^;
え、そんなオチ!?
と逆にビックリさせられます。
主人公の今までの偉そうな、うんちくは何だったのかと。
と、まあ、色々と辛辣な意見を述べましたが、それも当たり前と言えば当たり前。
ドイルを始めとした先人の築いてきた、ミステリ小説という一つのジャンルを順当に進化させていった結果が今なのだから。
当然、その分、読者は目だって肥えてるし、より贅沢な作品を求めてる。
そもそも100年以上も前に書かれた作品に、辻褄やエンタメ性を求めるのは少しばかりコクというもの。
この作品が評価されるべくは、当時は未開だった推理ものという手法を早い段階で取り入れたという点。
その一点にあるんじゃないかと。
さて、そんな『モルグ街の殺人』ですが、詳しい感想について独断と偏見で語っていきたいと思います。

良かった点
ミステリ作品の教科書的な内容
まずミステリ小説を書こうとしているのなら一読しておいて損はないでしょう。
良くも悪くも教科書的な作品です。(笑)
たとえば主人公のオーギュスト・ギダンは頭脳明晰な探偵役。
名前の登場しない語り手は読者目線のワトスン役。
主人公の引き立て役である警察は愚鈍に描かれている。
といった具合で後のミステリ作品に繋がっていく、お決まりの要素が既に確立されています。
他にはストーリー構成でしょうか。
事件発生から謎解きに至るまでの経緯が、しっかりと無駄なく描かれています。
様々な目撃者に証言を語らせているのも、なかなか個人的には面白い手法だと感じました。
冒頭、読者の興味を惹きつけることにも成功していると思います。
登場人物たちのキャラが立っている
今となっては珍しくもないですが、所謂、天才型の主人公。
凡人の語り手。
これぞ、まさにミステリの王道にしてゴールデンコンビ。
最強の組み合わせといえるでしょう。
さぞかし当時の読者たちは熱狂したであろうことは想像に難くありません。
まだ恐らく類似した作品、見本も少ない時代、無の状態から(少なからずモデルはいたのでしょうが)この構図を生み出した氏の手腕には思わず脱帽です。
後に続く、シャーロック・ホームズ、エルキュール・ポワロ、明智小五郎や金田一耕助の原点とも呼べるでしょう。

悪かった点
オチが酷い
先述したとおり、これは仕方ない。^^;
お手本になる作品が、まだ何もなかった時代だし、それを考えれば健闘した方かと。
とはいえ、犯人がアレにしては器用すぎるし、そこに至るまでの過程が雑すぎる。
これは、どんなミステリ作家でもアルアルだと思うんですが(?)冒頭で読者を惹きつけようとするあまり大風呂敷を広げすぎてしまうというか、魅力的な不思議をいっぱい散りばめすぎちゃう。
結末の伏線回収なんて二の次。
とにかく面白い要素を、これでもかというくらい詰め込んでしまう。
その結果がああなったのではないかと。
そう推察します。(笑)
作者さん、結構、悩んだんじゃないかなあ。^^;
とにかく主人公が理屈っぽい
これは少々、うんざりしました。
わたしの頭が悪いせいもあるのですが(笑)思わず読み飛ばしてしまうくらい。
のっけから人間とは~から始まります。
まるで自然の摂理とか、有り難いお経でも聞かされているような。
作者か主人公が自分の頭がいいことをアピールしたいのか何だかわかりませんが、あそこで見切りをつける読者も多いんじゃないでしょうか。
そもそも、あまりストーリーには関係がないという。(笑)
わたし個人的には無理でした。^^;
台詞が長い
この主人公、よく喋ります。(笑)
改行が頻繁にされているのなら、まだいいのですが(まあ、これは翻訳のせいもあるのかな?)事件に関する謎解きを延々とページの端からページの端まで。
とにかく捲し立てます。
コイツ、いつ息してんだ?
って思うくらい。(笑)
本当に頭がいいなら、少しは話を簡潔にまとめて欲しいものです。(笑)

さてさて、いかがだったでしょうか?
色々と述べましたが『モルグ街の殺人』が優れた犯罪小説であることに変わりはありません。
一読しておいて決して損はないでしょう。
かの江戸川乱歩も、こう語っています。
『もしポーが探偵小説を発明していなければ恐らくドイルは生まれなかったであろう』
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