【書評】元祖 シリアスの皮を被ったギャグ漫画?『課長バカ一代』
- 2021.05.10
- 書評

どうも、さかいです!
皆さんはギャグ漫画と聞いてどの作品を思い浮かべますか?
古くは『天才バカボン』や『パタリロ』、『あさりちゃん』、『Dr.スランプ』、比較的、最近では『聖☆おにいさん』や『鬼灯の冷徹』などの作品を思い浮かべる人もいるかも知れません。
世代によって、そのイメージも大きく変わることでしょう。
今回、ご紹介するのはその中でも特に異彩を放つ作品。
真面目な本だと思って手に取ると、思わず火傷(?)してしまいしかねない取り扱い注意にして究極のおバカ漫画。(笑)
『課長バカ一代』
について、ご紹介していきたいと思います。(笑)
作品の概要
家電メーカー「松芝電機」の社員で、「課長補佐代理心得(後に「心得」が取れて課長補佐代理に”昇進”)」というよく分からない肩書きを持つ主人公「八神和彦」とその部下たちが、大して内容の無いバカな話を真面目に語り合うなどする。
これは後に週刊少年マガジンで連載されて人気となる『魁!!クロマティ高校』に通ずる作風である。
劇画チックな絵とは裏腹に、その内容性から1~3巻の表紙には「劇画ファンの手の届かない場所に保管してください」という注意書きがある。
ミスターマガジンの休刊に伴い全182話で終了し、後に週刊少年マガジンに183・184話が掲載され、その後発売された傑作選「子供用」やKCDX版に追加収録されている。
主な登場人物
八神 和彦(やがみ かずひこ)

主人公。正式な肩書きは「家電メーカー・松芝電機 商品開発部企画課 課長補佐代理心得」。この漫画は彼こと「課長バカ」の一代記である。
パーフェクトなバカであり、そのバカさ加減と思いつきの奇行で周囲の人間やライバル企業・産業スパイまでも翻弄する。常に真っ白なスーツとオールバックというファッション。
年齢は1996年の連載開始時は33歳だったがどうやら歳をとっているらしく、2003年に週刊少年マガジンに特別編が掲載された時は39歳になっていた。誕生星座は獅子座。
パチンコをするとパチンコ台が壊れたり玉が出なくなったりするなどの不運が起こる。
第四十章「昇格」において、課長補佐代理心得から課長補佐代理に昇進したが、以降最終回まで昇格することはなかった。
後に新たに設立された「第二企画課」に異動し、自らの提案で設立された「スパイ課」と共に、そこでも課長補佐代理を務める。
稀に役に立つ商品を開発することもあり、物語終盤は前田以外の部下に対するツッコミに回ることも多かった。
大の野球好き。
英検4級の資格を保持しているが、英語で1月から12月までを言うことすらできず、言い逃れ用の台詞「ストマックエイク(腹が痛い)」ぐらいしか覚えていない。
松平 芝之助(まつだいら しばのすけ)

松芝電機代表取締役社長。話の途中から出てくる場合、「←社長」と注釈が付けられることが多い。
家庭は中流で国立大学を卒業し松芝電機を一代で世界的企業にした。
よほどヒマなのか、よく八神の奇行に付き合い、八神や林田の影響で単なるごきげんなオッサン扱いされるまでに落ちぶれてしまった。
自伝を作ろうとした時はあまりのエピソードの無さに八神達にも呆れられた。
前田 仁(まえだ じん)

八神と同じ商品開発部企画課の係長。左利き。昇進した八神の後任として営業部から異動してきた。
かつては「仕事の鬼」と呼ばれていた優秀な人材で、異動ついでに上司の八神を蹴落そうと企む野心家であったが、八神の下に就いて奇行に振り回されるうちに彼に影響されてしまい、作中ではすっかり単なるツッコミ役となってしまった。
八神の異動後は後任として商品開発部企画課の「課長補佐代理代行」の役職を務めるが、いつの間にか八神と行動を共にする機会が多くなる。
ボブ207(通称ボブ、ボビー)

松芝電機の開発したロボット。
元々は焼肉ロボだったが改良し人工知能を搭載するまでに至った。
一度は三台売れるものの全て返品(家に入れなかったのと冷蔵庫と間違えられたのが理由)され、その後のパンダ柄に塗装されたりお悩み相談マシンなどに改良されるが上手くいかなかったようで結局元に戻る。
最終回で重大な秘密が明らかになる。KCDX版発売記念で掲載された185話にも登場するが、起動はしておらず八神に「ガラクタ」呼ばわりされた。
J・T・スペンサー
父親が外交官を勤めるイギリス帰りのエリート社員。
スーベニア語しか話せないため2人の通訳(スーベニア語を英語に訳する通訳と、英語を日本語に訳する通訳)が同行している。
ちなみにスーベニア語の通訳に払われている年俸は2800万円。
産業スパイのボス
ライバル会社「NCE電機」の役員。
産業スパイを使って松芝から情報を盗もうとするが、八神のバカさ加減によって悉く失敗している。
偶然ながらスパイ活動を邪魔されているため、八神を有能な社員と勘違いしている。
洗濯機の使い方にうるさいなど妙に生活臭くさい面がある。
秋野哲
松芝の検品課に在籍しながらNCEに新製品の「洗えんぼう将軍(後述)」の情報を流そうと図るも、家から洗濯物を持ってきて使用していた八神を産業スパイと勘違いする。
工作員13号
耳以外八神にそっくりな男。
機密情報を盗むために八神になりきるも松芝社内で大活躍を見せ、スパイの人生に悲観し廃業しかける。
パチンコが下手。初登場時にはご丁寧に「NISE」と書かれたネクタイを締めていた。
宇宙人
地球侵略のためにUFOに乗ってやってきた。
地球人の生態について調査しようとし、八神のバカっぷりを見て卒倒を起こす。
最初にやってきた宇宙人は「ベイク総督」と言う名前があったが、2回目に来た宇宙人の名前は不明。
これもやはり八神のバカっぷりに振り回される。「クロ高」にも同じ姿の宇宙人が登場。
天使
寝ている八神の元に舞い降りた、太っちょでスキンヘッドの天使。
なんでも願い事を叶えると言い「その願いを100個にしてくれ」と言うのは了承したが、「あなたがいきなり課長になったら会社が潰れる」とか、「7万円程度なら犯罪ギリギリであげられる」など、叶えられる願いはせいぜい小さなものらしい。
結局、「日本が沈没しませんように」と「今日一日ぐっすり眠りたい」という八神の願いに、クーラーを適温にして帰っていった。
引用:Wikipedia
ここが凄い!?『課長バカ一代』
独特の世界観

舞台は会社なので、当然、主人公もサラリーマン。
なので他の登場キャラクターも皆、会社員だったりOLさんだったりするわけですが、一見よくある風景を見事にデフォルメ。
現実世界では笑って受け流すようなテーマや問題を、それについて彼らは大まじめに(シリアスな顔で)論じます。
それこそ、しつこいくらいに。(笑)
だが、そこが面白い。
これもギャップ効果なんでしょうか。
真面目な顔して面白いことやってる人って、こんなにも笑えるんだ。
なんてことを改めて気づかされます。
じっくり台詞さえ読まなければ、ハードボイル漫画に見えてしまうかも。(笑)
それくらい台詞の中身と絵柄が乖離してます。
馬鹿すぎる主人公

一見、仕事の出来そうなシュッとしたイケメン顔。
ぱっと見、池上○一氏の絵柄を思わせるシリアスな斜め45度。
が、しかし、この主人公が良い意味で馬鹿すぎる。(笑)
普通にしていれば何ら問題には発展しない出来事も、考えに考えすぎて自分から勝手にドツボにはまっていきます。
その思考が実にユニーク。
一見、筋道が通っていて理路整然にみえるのですが、どこかズレてる。
見た目は端正なイケメンなのに脳内は幼稚園なみとでもいうのか。
主人公を取り巻くキャラクターたちも十分に間が抜けてるんですが、主人公の間抜けぶりが際立ちすぎていて彼らが、まともに見えてしまう。
どんどんおかしくなっていく設定

先述したとおり舞台は会社です。
しかし、お話が進んでいくと、その世界観がどんどんおかしくなっていきます。(笑)
新商品と称しロボットが登場したり、果ては地球侵略を目論む宇宙人、なんでも願いを叶えてくれる(?)という天使が登場したりと、もう滅茶苦茶。(笑)
『もう会社、関係なくなっとるやん!』
なんて思わず突っ込んでしまいたくなる。
でも、それらの要素が上手いこと馬鹿馬鹿しい世界観と噛み合ってる。

さてさて、いかがだったでしょうか。
名作ギャグ漫画であることに変わりはないのですが、短編であるうえ、話によって面白さに少々バラつきがあったりも。
加えて笑いの方向性が尖ってるが故にハマらない人はハマらない。
どんな作品にも言えることですが、ある意味、読み手を選ぶ作品とも言えます。
反面、他のギャグ漫画では味わえないような独特のセンスと世界観が光る作品であることも確か。
ちなみに筆者の野中英次さんといえば『魁!!クロマティ高校』でも有名ですね。
なので、『魁!!クロマティ高校』にハマった人なら、まずハマることは間違いないでしょう。
さかいとしては、この『課長バカ一代』の方が圧倒的にオススメです。^^
『最近、笑えるギャグ漫画がないなあ』
なんて、少し物足りなく感じてるあなた。
どっぷりと浸かれるかも知れませんよ?^^
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