マザーベースの元ネタ? 海に浮かぶ世界最小国家『シーランド公国』の不思議!

マザーベースの元ネタ? 海に浮かぶ世界最小国家『シーランド公国』の不思議!

どうも、さかいです!

あなたは『国』と聞いて何を思い浮かべますか?

我々の日本を含め、世界には色々な国が存在しているわけですが、そんななかに自称、国家があるのをご存知でしょうか?

それも海のど真ん中に。(笑)

今回は、そんな風変わりな自称、国家。

シーランド公国について、ご紹介していきたいと思います。

シーランド公国とは?

海上のシーランド公国

北海の南端、イギリス南東部のサフォーク州の10km沖合いに浮かぶ構造物を領土と主張する立憲君主制のミクロネーションと呼ばれる自称、国家。

全国連加盟国及びバチカン市国よりも面積が小さいため、世界最小の国家を自称する。

ただし、創設以降、シーランド公国の国家承認を明示的に行った国は存在しない。

歴史

シーランド公国の国旗

さて、この海に浮かぶ摩訶不思議な国家はどのようにして誕生したのか?

深掘りしていくと意外にも壮絶な歴史が。(笑)

以下、時系列で紹介していきたいと思います。

1942年

イギリスは第二次世界大戦中、沿岸防衛の拠点として4つの海上要塞と多数の海上トーチカを建設。(後のシーランド公国)

これらは当時、マンセル要塞と呼ばれた。

イギリス沖10kmの北海洋上、ラフ・サンズと呼ばれる砂堆の上に、大きな柱が二本ある巨大な構造物(ポンツーン)を沈め、海上に突き出した柱の上に居住区や対空砲台などを作った。

1956年

戦時中は150から300人ものイギリス海軍兵員が常時駐留していたが、大戦終了後の同年に要塞は放棄。

1967年

元イギリス陸軍少佐で海賊放送(当時は民間が無許可でラジオ放送を勝手に流していた)の運営者だったパディ・ロイ・ベーツは、イギリス放送法違反で訴えられる。

彼は当時イギリスの領海外に存在したこの要塞に目をつけ、不法占拠した上で「独立宣言」を発表。

要塞を「シーランド」と名付け、自ら 「シーランドの公、ロイ公殿下」と名乗った。

1968年

イギリスは強制的に彼を立ち退かせようと裁判に訴えたが、11月25日に出された判決で、シーランドがイギリスの領海外に存在し、またイギリスを含めて周辺諸国が領有を主張していなかったことから、イギリス司法の管轄外とされた。

1975年

憲法・国旗・国歌が制定される。

1978年

ロイ・ベーツ公はカジノの運営を計画、西ドイツの投資家アレクサンダー・アッヘンバッハを首相に任命。

ところが、アッヘンバッハらはクーデターを画策し、モーターボートやヘリコプターでシーランドを急襲して当時のマイケル・ベーツ公子(現在の公)を人質に取ると、ロイ・ベーツ公を国外へと追放。

英国へと渡ったロイ・ベーツ公は、20名程の同志を募ってヘリコプターを使用しての奪還作戦を行い、これを成功させた。

これをきっかけにシーランド騎士団が創設された。

アッヘンバッハは公国のパスポートをもつ同「国」の「国民」であることから、シーランド公国により反逆罪で投獄され、7万5千マルクの罰金を命じられた。

西ドイツ政府はイギリス政府に自国民であるアッヘンバッハらの解放を依頼したが、イギリス政府は海上要塞は自国の司法の管轄外にあるとする1968年の判決を理由に断り、やむなく西ドイツはシーランド公国へ駐ロンドン大使館の外交官を派遣して解放交渉を行うこととなった。

一国から正式に外交官が派遣されるという事態に、ベーツは自国が事実上西ドイツにより承認されたものと喜び、罰金の問題は立ち消えることに。

1990年

シーランド公国亡命政府としての独自硬貨を発行。

2006年

老朽化した発電機から火災が発生し公国が半焼。

ロイ・ベーツはこのとき国外に住んでいたため無事であったが、「国土」は壊滅状態に陥った。

同6月25日にはベーツ夫妻が国土に戻り、私財を投じて国土の再整備し、7月末には発電機や焼失した配線系統の復旧が完了し、公国が存続することが可能に。

※国土の再整備には、売りに出した爵位などの売上金が再建の助けになったとも言われている。

ちなみにシーランド公国は、希望があればパスポートを発行するサービスも行っていたが、大量の偽造パスポートが出回ったため発行を一時中止して、1997年以前に発行されたパスポートはすべて無効にする事態となっている。

2007年

イギリスデイリー・テレグラフ紙で、6500万ポンドで国全体が売りに出されていることが報じられた。

※国家の主権は「売り物」ではないため、シーランド公国側では売却ではなく、譲渡という言葉が用いられた。これを受けて、スウェーデンの「パイレート・ベイ」が買収に名乗りを上げたが、シーランド公国側に拒絶され断念。

2015年

ロイ・ベーツが91歳で薨去。

同日、「摂政」を務めていたマイケル・ベーツ公世子が父の後を継ぎ、2代目シーランド公国公に即位。

マイケル公はシーランド騎士団の公募を開始。

国家か否か?

シーランド公国の国章

1974年、シーランド公国側は論文を公式ウェブサイトに掲載し、その正当性を主張。

以下の点を強調しました。

「ロイ・ベーツの『ラフス・タワー』占拠は国際法上の無主地の獲得の要件を満たしている」

「『シーランドはイギリスの法の対象外であり、法的主体ではない』

これによって、イギリス当局は暗黙のうちにシーランド公国の存在を受け入れた。

というより根負け?(笑)

なお、シーランド公国を「独立国家」として承認する国・政府が現れることはなかったため、国際的には国家として扱われていないのだとか。

国際法上では国家成立の大きな要件のひとつとして領土をあげており、この領土とは島または大陸の全部または一部であると解釈されている。

そして、海の憲法と呼ばれる海洋法に関する国際連合条約では

「島とは自然に形成された陸地であって、水に囲まれ高潮時においても水面上にあるものをいう」

としている。

自然に形成された陸地ではないシーランドは「島」ではなく、大陸の一部でもないため、シーランド公国は国際法上でいう領土を持たず、国家成立の大きな要件を欠いているため認められないことになっている。

まあ、当然っちゃあ当然でしょ。w

これが、まかり通ってしまっては、世界中の色々な国が勝手に人工島を作ってしまう。(笑)

軍事、警察機能

ちなみに、この『シーランド公国』

全然、国家として機能していないかといえば必ずしもそうではない模様。

通常、1名の兵士が1丁のライフルでシーランド領内を巡回しているのだとか。

※有事の際にはロイ・ベーツ公が英陸軍時代の人脈を背景に独自に集めた戦力が加わったなんて事例も。

また、シーランド騎士団なる治安維持部隊も存在。

ただし、インターネットで加入権を販売しているのみで実態はなく、国際法上の騎士号ではないのだそう。

収入源

シーランド公国のウェブサイト上では爵位・称号のほか、切手やコイン、国土の一部、カップや卓上旗等のグッズを販売しているのだそう。(お土産?)

ちなみに爵位等を購入すると、切手や消印も送られてくる。

また寄付の受付も。

マイケル公は副業で漁業も営んでいる模様。

爵位制度

先述したとおり、シーランドの貴族制度は金銭で販売されており、爵位は男爵、伯爵、公爵の三種類から選べるシステムになっているのだとか。

またナイトの称号も販売されている。

※爵位・称号には有効期限はないので、更新手続きなどは不要。

これらの取得者には、申込時に登録した通りの名称(ニックネーム可)と称号・爵位が書かれた認定証・爵記やシーランドに関する記念品などが同時に送られてくる。

ちなみに現代国際法は正統な爵位の叙爵には君主大権としての叙任権が必要であると定めており、シーランドの「公」は国際法上これを有しない。

従ってこれらの称号は全て民間称号である。

英国では

「詐称を目的としない限り、個人は自らを自由に名乗ることが出来る」

と法律で定められているため、これら民間称号の販売は合法であるとされる。

(イギリスって爵位に関してはうるさそうなイメージだっただけに、これは意外w)

つまり全ての個人は、民間称号を購入しなくとも、個人的な目的に限れば自ら好きに貴族号を名乗ることが可能というわけ。

一方、イタリアやドイツなど一部の国家に於いては、正統な貴族でない者が貴族号を名乗ることは違法なのだそう。

オーストリアのように貴族称号自体が禁止されている国も。

またアメリカでも実在しない貴族の称号を名乗っていた者が起訴された例が存在する。

考察

戦術的、政治的な優位性がないにも関わらず、大の大人が勝手に縄張り争い(意地の張り合い?)してるイメージが払拭しきれない、この自称、お騒がせ国家、シーランド公国。

一方では大まじめに、その一方では大して相手にしてない(無理矢理、付き合わされてる?)というのが何ともアンバランスで面白い。

しかしながら、一見、国家ごっこをしてるようで、その裏で軍隊なんかも登場してくるから、あながち馬鹿にもできない。

まあ、今では、お土産を売って(?)生計を立ててるくらいだから、まだ微笑ましいというか笑い話で済んでるけど国家って何? 領土とは? なんて疑問には辿り着く。

これが、もし映画や小説だったなら、テロリストが占拠して核を持ち込んだり生物兵器を持ち込んだり。

勝手に独立国家を名乗るなんて展開もあったりで。(映画『ザ・ロック』とかメタルギア?)

実際、そんなことにでもなれば周辺国だって迂闊に手出しできなくなりますわな。

※そのときは、どう対処するんだろ。^^;

まあ、個人的にはフィクションの元ネタにするには、もってこいなんじゃないかと。(笑)

さてさて、いかがだったでしょうか?

世界には様々な国がありますが、まだまだ我々の知らない面白い場所が隠されているものですね。^^

あなたは、どう思いましたか?

引用:Wikipedia