【映画批評】『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 』は傑作か駄作か?※ややネタバレあり
- 2022.03.21
- 映画

どうも、さかいです!
今回は映画レビュー。^^
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ ブルーレイ』です。
一言で言い表すと、
007シリーズの流れを変えた意欲作!
といった感じでしょうか。(善くも悪くもw)
007といえば、言わずと知れたビッグネーム。
同時に大変な歴史を持つシリーズ作品の筆頭とも呼べるでしょう。
世界でも知らない人はいないはずです。
原作小説は自身も諜報員だった経験を持つイアン・フレミング。
大人気アニメ『ルパン三世』が本作品をモデルにしていることは、あまりにも有名ですね。
他にも『シティーハンター』や『ゴルゴ13』、『名探偵コナン』等、影響を与えた作品は数知れず。
さて、そんな007の最新作にあたる『ノー・タイム・トゥ・ダイ』ですが、6代目ボンド役をつとめたダニエル・クレイグ氏の引退作品、完結作ということになるようです。
果たして面白かったのか?
つまらなかったのか?
その評価はいかに?w
ダニエル・クレイグ、最後のジェームズ・ボンド。
時は来た。
【ストーリー】
ボンドは00エージェントを退き、ジャマイカで静かに暮らしていた。
しかし、CIAの旧友が助けを求めてきたことで平穏な生活は突如終わってしまう。
誘拐された科学者の救出という任務は、想像を遥かに超えた危険なものとなり、やがて、凶悪な最新技術を備えた謎の黒幕を追うことになる。
【キャスト】
ジェームズ・ボンド:ダニエル・クレイグ(『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』『ドラゴン・タトゥーの女』)
サフィン:ラミ・マレック(『ボヘミアン・ラプソディ』「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」)
マドレーヌ・スワン:レア・セドゥ(『たかが世界の終わり』『アデル、ブルーは熱い色』)
ノーミ:ラシャーナ・リンチ(『キャプテン・マーベル』)
Q:ベン・ウィショー(『リリーのすべて』『パフューム ある人殺しの物語』)
パロマ:アナ・デ・アルマス(『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』『ブレードランナー 2049』)
イヴ・マネーペニー:ナオミ・ハリス(『ランペイジ 巨獣大乱闘』『ムーンライト』)
M:レイフ・ファインズ(『ハリー・ポッター』シリーズ、『イングリッシュ・ペイシェント』)
エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド:クリストフ・ヴァルツ(『ジャンゴ 繋がれざる者』『イングロリアス・バスターズ』)
【スタッフ】
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ(「TRUE DETECTIVE/二人の刑事」『闇の列車、光の旅』)
製作:マイケル・G・ウィルソン(『007』シリーズ)、バーバラ・ブロッコリ(『007』シリーズ)
脚本:ニール・パーヴィス & ロバート・ウェイド(『007』シリーズ)、キャリー・ジョージ・フクナガ、フィービー・ウォーラー=ブリッジ(「Fleabag フリーバッグ」)
撮影監督:リヌス・サンドグレン(『ファースト・マン』『ラ・ラ・ランド』)
音楽:ハンス・ジマー(『DUNE/デューン 砂の惑星』『インターステラー』、『ダークナイト』3部作)
共同製作:ダニエル・クレイグ、アンドリュー・ノークス、デヴィッド・ポープ
主題歌:ビリー・アイリッシュ
スティーヴン・シュナイダー:『スプリット』『ミスター・ガラス』『パラノーマル・アクティビティ』
引用:Amazon
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評価
ストーリー
★★★☆☆
キャラクター
★★★☆☆
どんでん返し
★★★★☆
総合
★★★☆☆
感想
さて、このダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドは、第1作目にあたる『カジノ・ロワイヤル』に始まり、2作目の『慰めの報酬』、3作目の『スカイフォール』、4作目『スペクター』、そして本作の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』と実に5作にも渡る一大巨編です。
しかも全てストーリーが繋がっているのですね。
個人的に007シリーズは全作品を鑑賞したわけでも大ファンというわけでもないのですが、このクレイグ版007に限っては何か惹かれるものがあったので、『カジノ・ロワイヤル』から、ずっと全シリーズ見続けておりました。
何が惹かれたのかというと、やはり、これまでの007のイメージを大きく払拭したところでしょうか。
これまでのジェームズ・ボンド像は、どこかクールで女ったらしで、にやついていて。。みたいな軽い男のイメージがあったのですが、このクレイグ版ボンドは硬派なんですね。
まあ、それなりに女の扱いに慣れていたりクールに決めたりするシーンも散見されたりと、あるにはあるのですが、そこは控えめ。
どこか泥臭いというか人間くさいというか。
ハンサムすぎない(笑)彼の風貌やイメージも手伝っているのかも知れません。w
これまで観客たちが思い描いていた“憧れ”ではなく、“等身大”に寄り添ったヒーロー像を確立したといえるのではないでしょうか。
ファンたちの間でも、このクレイグ版007は概ね好評だったようで、それが5作もシリーズを存続させた最大の理由でしょう。
とはいえ、まあ、そこは007。
良い意味でも悪い意味でも、大筋というか基本的な概念は他の作品と大して代わり映えはないというか。(元も子もないw)
MI6の諜報員という立場は不動なので基本はスパイ映画です。
それも古典的な。
敵が変わるだけで毎度、なにか突出した展開があるわけでもなし。
黄門様的なシリーズといえば我々、日本人には伝わりやすいかも知れません。w
しかし安定した面白さが保証されているのも、本作の魅力のひとつ。
そういう意味では、本作は十分に及第点と言えるでしょう。
特に序盤のアクションに銃撃戦、胸の空くようなカースタントは見事でしたし、流石!と思いました。
これだよ、これが俺の観たかった007だよ!
なんてね。w
そして流れる、あのお決まりのBGM!
まあ、アガりますわ。w
この時点でスタンディングオベーションでした。(心の中でw)
既にDNAに刻まれているとでもいうのでしょうか。
特別にファンではないけど、なんとなく今までの人生で目にしてきた。
物心ついた頃には既にあったし、ふと隣を見ればいつも居た。
そういった作品って多くはないと思うんですね。
あのテーマ曲を聞いた瞬間、熱いものが一気に込み上げてくるとでもいうか。
そして繰り広げられる独特のユーモア、美女との台詞の掛け合い。
多分、イタリア(?)のお洒落な背景。
ん~、大人!w
これぞハードボイルド!w
期待を裏切らない見事な導入部分に酔いしれました。
こういった独特な雰囲気も本作の醍醐味というか大切な要素であることを改めて思い知らされました。
(本シリーズに限って言えば、むしろストーリーより大事かも)
ちょっとした海外旅行にでも出かけたような。
そんな気分になれます。w
そんなわけで中盤辺りまでは非常に楽しめました。
いつもの007、クレイグ版のジェームズ・ボンドの冒険を、これ以上ないというくらい堪能させていただきました。
が!(笑)
途中から何だか雲行きが。w
あれれ?何かおかしいぞ?
まさか。。。。
いや、そんなはずはない。
だって、これ007よ?
そんな展開、ないでしょ。ないない。w
しかし、この悪い予感がやがて現実のものに。w
いやいや、待てよ。
この展開って、どっかで見たことがあるような。
スーパーマン? インディ・ジョーンズ?w
まるで、デジャブでも目の当たりにしているような。
だいたい、主人公の2世を誕生させてしまうと、ろくなことにならない。
なので、そうならないことを切に願ってました。
しかし、映画は現実よりも過酷でした。w
だから、よせっつったのに!(笑)
そして物語は、あれよあれよという間に一気に転がり落ちていく。
まるで石ころが坂道を下っていくみたいに。
今回の敵はナノマシンを題材にした細菌兵器。
映画が作られた時期として考えたら実にタイムリーだし、これから現実に起こっても、あるいは既に起こっていたとしても何ら不思議はない。
今、騒がれている新型○○○だって、この手の細菌兵器である可能性は十分にある。
(多分、本作はそのことに対する警鐘なのだと解釈してます)
ていうか、特定の人種やDNAだけを選んで攻撃できるウィルスとか。w
まさに、それじゃん!
これって凄く現実味があるし、もっとこっちの方面に重点を置いて欲しかった。w
というか掘り下げて見せて欲しかった。w
もっとも、このことが主人公、ボンドにとっても我々、観客にとっても後々、大きな悲劇を生むことになるのですが。w
そして、いつしか展開はスパイ映画からファミリー映画へと。
わずか70分かそこらの間にボンドさん、すっかりお父さんになってしまいました。w
いやいやいやいや!w
あり得ないから!
ジェームズ・ボンドがパパとか!w
そして、MI6の何でも屋こと、Qの恋人には同性の彼氏。
引退したボンドの後釜(新007?)には黒人のお姉さんと。
無理矢理ねじ込まれるポリコレ枠。
あかん、どんどん気分が悪くなってきた。w
無理矢理、押しつけられるプロパガンダに破壊されていく役のイメージ。
もう最悪です。
最悪の展開です。
何ごとにも適材適所ってもんがあるでしょ。^^;
ポリコレを題材にした作品には、びた一文お金を支払わないというモットーが個人的にあるので、ちょっと後悔した自分がいました。w
やれやれ、とうとう007まで最近の風潮に毒されてしまったか。
残念ながら、この時点でリモコンの停止ボタンを押しかけました。
一気に萎えるとでもいうか。
途中、参加したCIAのボンドガールが可愛かったことだけが唯一の救いでしょうか。
そのキュートな容姿に加え、新米という設定もナイスでした。^^
まあ、そんなこんなで物語はラストに向かって駆けだしていきます。
例のごとく敵の本拠地である孤島に乗り込んでいくボンドと新007。
この辺りの駆け引き、アクションは悪くはありませんでした。
ボンドに土下座をさせたこと以外は。(笑)
こっそりと小声で『僕の家族だ』と言わせたのも、ちょっとだけ微笑ましかったです。
が!(二度目)
あのラストは何じゃ?(笑)
やってもうたな、オイ!w
まさにアルマゲドンとかSWのローグ・ワンを彷彿とさせる展開。
というか生き写しでした。
わたくし、初めて観ました。
ジェームズ・ボンドの死んでしまった007の世界線。w
スーパーマンが死んでしまったとき以来の衝撃でした。
『もう、本当の本当に僕はおしまい!金輪際、007には出ないよ!』
という氏の強いメッセージ性を感じたのは自分だけでしょうか。(笑)
まあ、エンドロールの終わりに
『ボンドは帰ってくるでしょう』
のテロップが出ていたので、あれで本当に彼が死んでしまったのかどうかは俄にはわからないのですが、あの状況なら彼は間違いなく死を選択するでしょうし、本人の身に起こった出来事を鑑みたら生きてるはずがないんですけど。
しかし、とにもかくにも、これでクレイグ版007は大団円を迎えたわけで。
もう二度と彼の007を目にすることはないでしょう。
そう考えたら少しだけ寂しくもあり。。
しかしなあ、なにも○すことはなかったんじゃないかなあ。
もっと他にやり方があったんじゃ。。。
ずっとクレイグ版の007が好きで、見続けてきた自分としては何とも消化不良で複雑。^^;
ジェームズ・ボンドって無敵というか、絶対に死んだりしないイメージをどこかに持っていただけに、これはこれで衝撃を隠しきれませんでした。
さて、そんな本作の総評ですが、
普通のアクション映画とし評価するなら凡作。
007として評価するなら、家族を持つという、善くも悪くも新しいボンド像を創り上げた意欲作。
といったところでしょうか。
何も既存の殻を打ち破るのが悪いとは言ってません。
むしろ、どんどん新しい試みにはチャレンジしていく必要があるし、それをやらなければ時代にだって取り残されていってしまう。
でも、本作に限っては、その料理の仕方に失敗してしまった。
もっと本来の持ち味であるアクションシーン、敵やウィルス兵器の要素を深く掘り下げていれば、更に評価は高かったかも知れません。
よく終わりよければ全てよし等と言ったりしますが、裏を返せば、終わり駄目なら全て台無し。
これって、きっと映画にも当てはまるんだと思います。^^;
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オススメする人
既存の007シリーズが好きな方なら必見でしょう。
しかし、そのイメージがあまりにも強い方、思い入れのある方は控えた方がいいかも知れません。
何故なら、先述したように本作は、その期待を大きく裏切られることになるから。
ある意味で鑑賞には注意が必要かも知れません。
わたしのようにポリコレ表現に対して、強いアレルギー反応のある方にも、お勧めはしません。w
逆に本作から007という作品に入るという方なら、固定観念なしに、割とすんなり受け入れることができると思います。
ご家族を持っていたり、お子さんがいる方なら、その感情移入も一入でしょう。^^

さてさて、いかがだったでしょうか?
長きにわたって愛され続ける007シリーズ。
ロマンあり美女あり冒険あり。
男の夢が詰まった作品でもあります。
そんな歴史あるシリーズの中に一石を投じた異色の本作。
いかがでしょうか?
今度の週末にでも是非!^^
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