待ちに待った瞬間だった。
相手は国際的な窃盗犯。
インターポールが長年、追ってきた因縁の容疑者だ。
「今です。香澄さん、やりましょう」

今こそ好機。
このタイミングを逃す手はなかった。
それだけに志来(しき)祐介の鼻息も荒い。

「了解」
溜め息混じりだった。
気怠くて億劫そうで。面倒くさそうで。
元殺し屋捜査官、霧崎香澄が髪をかき上げる。
「香澄さん? 何する気なんです? 銃なんか抜いて」
「何って?」
「え?」
「え?」
「えぇっと」
「志来くんこそ。どうして手錠なんか」
「勿論、容疑者の逮捕です。言ったでしょう、相手は丸腰だって。そういう香澄さんは?」

「殺(ヤ)るんじゃなかったの?」

「違います!」


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