できる上司の一日は忙しい。
志来祐介は、オフィスでペンを走らせていた。

「本当、僕がいないと何もできないんですから」
朝一番の仕事は、部下が提出した始末書のチェックだ。

「えぇ、この度は誠に遺憾ながら――」
午後は、部下が起こした不祥事についての謝罪会見。

「これ、つまらないものですが――」
夕方からは、部下が迷惑をかけた関係各所への謝罪行脚。
「あぁ、今日もよく仕事をした」
帰宅する頃には、すっかり夜も更けていた。
カラン。
グラスの中の氷が音を立てた。
「へぇ」と霧崎香澄。

「……結局、謝ってばっかりじゃない」
プチン、祐介の堪忍袋の緒が切れる。
「あなたのせいです!」

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