無機質な無線の音。赤と青の回転灯が、夜の街を染めている。
「さすがですね」
志来祐介が口を開く。

「何故、あんな弾一つで彼が殺し屋だと?」
「それより」
ぼそり、霧崎香澄がつぶやく。

「もういいでしょ。しょぼい給料分の仕事はした」
「まだです。殺し屋を捕えたからといって捜査が終わったわけではありません。調書の作成に裁判、刑務所に送り届けるまでが捜査です」
「遠足みたいに言わないで」
「なにか根拠があるんでしょ? ねぇ? 何故、彼が殺し屋だと? 犯人だって分かったんです? 意地悪しないで教えてくださいよ」
「知りたい?」
「ヒント! ヒントだけでも!」

「いいわ」
香澄が大きな溜め息をつく。
「まず、現場に残されてた弾。あの弾は市販品じゃない。ハンドロード。ライフリング痕も特殊だった。ともなれば、銃の候補は自ずと絞れる。扱える人間もね」
「なるほど」
「一番、決定打になったのは」
「決定打になったのは?」
「警備の網をかいくぐって標的を仕留めるまで2分かかってる」
「確かに。驚くほどの早業です。地元警察の警部も舌を巻いてました。こんな鮮やかな殺しの手口は見たことがないって」
「逆よ」
キン。
ライターによって煙草に火が灯される。

「時間がかかりすぎ」
祐介の顔から、笑みが消えた。
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