『メタルギア』シリーズで、お馴染み! フルトン回収システムって本当にあるの?

『メタルギア』シリーズで、お馴染み! フルトン回収システムって本当にあるの?

どうも、さかいです!

ところで、皆さんは『フルトン回収システム』って聞いたことはありますか?

大人気ゲーム『メタルギア』シリーズをプレイされたことのある方でしたら、ご存知だと思います。

そうです、あの捕らえた敵兵を、お空に向かってビューン!する風船のことです。(笑)

あれって本当にある道具なのかどうか気になった方も少なくないはず!(笑)

今回は、そんな実在したフルトン回収システムについて、ご紹介していきたいと思います。

概要

フルトン回収システム(Fulton surface-to-air recovery system, 略称 STARS)は、CIA、アメリカ空軍及び海軍により用いられた、地上の人間を航空機によって回収するためのシステムです。

別名、スカイフック。

回収にはMC-130E コンバット・タロン IやB-17といった航空機が用いられました。

このシステムはオーバーオールに取り付けられた、ハーネスと引き上げ用のロープに設置された自分で膨らませる気球で構成。

(気球は航空機に引っ張り上げてもらうためのものであり、それ自体に人を浮かべる力はありません)

回収対象側は先立って投下された回収キット内のハーネス付のスーツを身に付け、気球を膨らませてハーネスに繋ぎ、風下に向いて座った姿勢で回収姿勢をとります。

航空機側は機首のV字型フックで気球に繋がるワイヤーを捕らえ、そのまま引っ張る形で引き上げます。

その後、ワイヤーへ後部ランプからフックを引っ掛けて引き込み、設置されたウインチで機内に回収者を完全に収納。(笑)

なんでも引き上げ用ロープに取り付けられた赤い旗は、昼間の回収の際にパイロットへの目印なのだとか。(夜間はロープに取り付けられたライトが目印になる)

HC-130H. (U.S. Air Force photo)

尚、同システムは1〜2人を回収できるように設計されてます。

開発経緯

Wikipediaより転載

フルトン回収システムの試みは1950年にCIAとアメリカ空軍によって始められます。

その際、発明家のロバート・エジソン・フルトンJr.が開発。

これは第二次世界大戦時に米英軍によって用いられた類似のシステムを発展させたもので、元々は人間と空挺作戦後に墜落した軍用グライダーの両方を回収するものでした。

フルトンは、ゴム気球、ナイロンのロープ、10〜15ポンド(4.5~6.8kg)の重りを用いて、多数の引き上げ法を考案。

その後、数年で回収システム用の機上と地上の装備を改良します。

実験で使用した編みナイロンのロープは4000ポンド(1800kg)まで耐えたといいます。

ちなみに人形を用いた実験ののち、生きたブタ(神経系が人間に似ている)も用いて実験。

ブタは空中で毎時125マイル(毎時200km)で回転し、負傷せずに機上まで上がったものの方向感覚を失っていたとのこと。(ブタさん可愛そう (゜´Д`゜))

その後、1958年までにフルトン回収システムは完成。

墜落したパイロット救出用に使用されたとの記録があるものの、実戦でフルトン回収システムが、どの程度用いられたかは不明だそうです。^^;

人間の回収

Wikipediaより転載

最初の人間の回収は1958年8月12日。

アメリカ海兵隊二等軍曹のレヴィ・W・ウッドを回収したときだとされています。

回収されるときの衝撃は、パラシュートが開く時よりも小さかったのだとか。

なお、初めて作戦で用いられたのは、放棄されたソ連の漂流している基地を調査するコールドフィート計画です。

1962年5月に二人のエージェントが敵基地に向かって空挺降下。

その後、72時間後に彼らの集めたソ連の装備を回収に成功。

この任務により、ソ連の北極の調査活動についての情報を得てます。(まさにスネークじゃん!(笑))

と、まあ、こんな具合で一見、安全なシステムのように思えるものの、1982年、一度のみとはいえ回収者が首の骨を折る死亡事故を起こしてるのだそうな。(恐っ!)

着陸こそは不要ですが、周囲が開けた場所である必要があるうえ、長距離のワイヤーで繋がった気球を捕らえるため一定の高度と速度を保たなければならないという難易度の高い運用方法。

それこそ敵地では一番危険な飛行を行なう必要があるなど、最後まで問題点を解消できず。

同システムは1996年に使用廃止されることに。

航空機の性能向上、ヘリの空中給油が可能になった等も、その有用性が失われたのも理由のひとつです。

さてさて、いかがでしたでしょうか?

余談ですけど『フルトン』って日本人の我々からすると、なんとなく風船みたいなイントネーションであることから、まんま風船のことなのかと思ったら実は開発者の名前だったんですね。(笑)

まずは、そのことが意外でした。(笑)

ちなみに『メタルギア』なんかで同システムは、それこそ鬼のような勢いで(笑)敵兵や捕虜を回収したりしますよね?(吸い込まれるようにシュポーン!みたいな。(笑))

ご安心ください。

フィクションと実際の運用方法とでは、全然、かけ離れているとのこと。(ま、そりゃそっかw)

参考文献:Wikipedia、pixiv百科事典