【映画レビュー】【感想】『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』は神映画か!?(ややネタバレ注意)
- 2020.08.01
- 映画

どうも、さかいです!
さて、今回は久しぶりの映画レビューです。
ご紹介する作品は
『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』
です!
【ストーリー】
フランスの人里離れた村にある洋館。
全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時出版のため、9ヵ国の翻訳者が集められた。
外部との接触は一切禁止され、日々原稿を翻訳する。
しかしある夜、出版社社長の元に
「冒頭10ページを流出させた。500万ユーロ支払わなければ全ページが流出する」という脅迫メールが届く――。
Amazonより引用
【キャスト】
ランベール・ウィルソン
アレックス・ロウザー
オルガ・キュリレンコ
リッカルド・スカマルチョ
シセ・バベット・クヌッセン
エドゥアルド・ノリエガ
アンナ・マリア・シュトルム
フレデリック・チョー
マリア・レイテ
マノリス・マヴロマタキス
【スタッフ】
監督・脚本:レジス・ロワンサル
脚本:ダニエル・プレスリー、ロマン・コンパン
撮影:ギヨーム・シフマン
音楽:三宅 純
プロダクションデザイン:シルヴィ・オリヴェ
衣装:エマニュエル・ユークノフスキー
編集:ロイック・ラルマン
この映画を一言で言うなら
斬新にして上質なシチュエーションミステリ!
でしょうか。
似たタイプの映画として、最初に浮かぶのはユージュアルサスペクツですかね。
恐らく同映画に多大な影響を受けていることが随所に見て取れます。
娯楽性
★★★☆☆
ストーリー展開
★★★★☆
登場人物
★★★★☆
というわけで、早速、本作について良かった点、悪かった点について触れていこうかと思います。
良かった点
・既存のミステリの枠にとらわれない状況と展開
・翻訳家の中のお姉さんが美人(個人的嗜好w)
・先を読ませないためのカムフラージュが巧妙
・作家にとっては心打たれる台詞の応酬
既存のミステリの枠にとらわれない状況と展開
最初、世界的大ベストセラー小説の翻訳ということで集められた各国の翻訳家たちが、その機密性を保つために閉鎖的なシェルターの中に閉じ込められ、半ば軟禁状態で仕事を請け負うわけですが、普通ならこの時点で密室型のミステリを連想するわけです。

と思いきや、物語は密室だけに留まらず時系列も飛び飛びで、より複雑な方向へ。
登場人物たちも9人プラス1人で、その中から原稿を外部へ流出させた犯人あるいは殺人犯でも捜し出すのかなあと漠然と想像していたのですが、また、これも違っていて、良い意味で期待を裏切られる結果に。
次第に物語は犯人捜しではなく、この世界的ベストセラーを生み出した真の作家が誰かという点に焦点が移っていきます。
翻訳家の中のお姉さんが美人(個人的嗜好w)
エラの張り方なんかが、どこかキーラ・ナイトレイを彷彿とさせるべっぴんさん。

バディも最高で、いつ脱ぎ出すのかとドキドキしていたのですが、そういった場面は一切ありませんでした。(笑)
とはいえ、ストーリーの必要上、強制的に衣服だけは脱がされるシーンはあったのですけどね。
(しかしながら、その美貌とは裏腹に彼女のパンツがオムツみたいにでかかったことには失望の念を禁じ得ませんでした。(笑))
もしかすると監督は彼女の男性に対する身の硬さを表現したかったのでしょうか。^^;

いや、それで正解だと思うんですよ。この手の映画に余計なエロシーンは不要ですから。
しかし、これだけ美しい登場人物が混じっていたら終始、目と神経が彼女にいってしまって物語に集中できなくなる男性陣も多いのではないでしょうか。w
(かく言う筆者もそうでした。w)
こんな美女とあんな密室に閉じ込められていたら、わたしくしなら確実に好きになってしまう自信があります。(笑)
先を読ませないためのカムフラージュが絶妙
単純に筆者がアホだからなのか、それとも無心で物語に入り込んでいるからなのか、途中、随所に「えっ」ってなる展開が複数回ありました。
全然、先が予測できませんでした。(汗)
勿論、良い意味でです。
ミステリでは、見せる側にコイツ怪しいと思わせるための布石をいくつか置くのが定石ですが、(いかにも犯人面してそうな奴ねw)それが実に巧妙というか上手いというか。
これには脱帽でした。
作家にとっては心打たれる台詞の応酬
これは物書きとそうでない方々で大きく分かれる点かも知れません。
物語の随所で心に響く台詞が飛び出すんですね。
たとえば
「ページを捲った瞬間から世界が溢れてくる」
や
「きみは金儲けのために創作の苦しみから逃れた」
とかだったかな?(笑)
筆者なんかは腐っても物書きの端くれのつもりのため、こういった言葉がいちいち心に響いてきて、その度に心臓を貫くわけです。
想像するに、きっと、この映画の脚本を書かれた方は、小説愛に満ち溢れている方であるに違いありません。
そうでもなければ、あれだけの台詞を紡ぎ出せる感性を持ち合わせているはずがないですから。

悪かった点
・複雑すぎる展開故、そんなに上手くいくかいなと何処か冷めてしまう場面も
・どんでん返しが多すぎる
・元はと言えば諸悪の根源は全て主人公説
複雑すぎる展開故、そんなに上手くいくかいなと何処か冷めてしまう場面も
そう、複雑なのです。
いくつもの伏線が糸みたいに絡み合ってる。
これらの伏線を全て回収し、見事なまでにトリックを仕掛け、それを卒こなしていく犯人。
二度、三度なら、まあ、アリだと思うし見ている側としても見逃すでしょう。
どうせ創作上の物語なんだしと。
しかし、これが何度も連続すると、次第に冷めていく感も否めない。^^;
犯人の目的も何なのか、何だったのかと途中で見失ってしまいます。
鉄は熱いうちに打てといいますが、物語にも当てはまるのかなあと。
どんでん返しが多すぎる
いちいち驚かされる展開に衝撃的などんでん返し!
これはいいんです。素晴らしかったです。
しかし、それも度が過ぎると観ている側が疲弊してしまう。(笑)
さすがにこれでラストだろうと思っても、また続く。w
いい加減、しつこいわ!!w
ってなる。
せっかく面白い展開でも回りくどすぎるのが、この物語の欠点でしょうか。
たとえるなら特盛りラーメン食べ終わって満足してたら、そこへ更に山盛りの餃子が出てきたみたいな。
もう少しシンプルにまとめられていたら名作になり得たかも知れません。
どんでん返しも3転、4転くらいが限界。
逆にそれ以上、やってしまうと観ている側がゴチャゴチャしてきてしまうし、衝撃も和らいでしまうわで返ってマイナスになるということを証明した映画なのではないでしょうか。
元はと言えば諸悪の根源は全て主人公説
そう、事の発端はすべてこいつ。(笑)
全部、おまえのせいじゃねーか!と突っ込みたくなってしまうんですね。
いや、まあ、意図してないため完全に本人だけに非があるとは言いませんが、運命の悪戯とでも言うのか、才能がありすぎたが故の不運とでも言うのか。
しかし、それでも、そもそもおまえが……と言いたくなる感はあります。^^;

さてさていかがでしたでしょうか?^^
色々、言いましたが、本作が傑作であることに変わりはありません。
これまでの常識を覆すとでもいうのか。
筆者にとってはそれだけ衝撃的だったし、久しぶりに目から鱗の映画でした。
ラストを知った上で、もう一度、最初から見返してみようって気になりました。
いやはや、凄い映画に出会いました。w
普段、ちょっとやそっとの映画じゃ、こうしてブログにしない筆者が筆をとってるのが何よりの証拠です。(笑)
ちなみに余談ですけど、社長さん役の俳優さん、どっかで見た顔だなと思ったらマトリックス・リローデッドに出てた、あのスケベなオッサンでした。(笑)

しかし、これだけの神映画なのに、何故、日本語吹き替え版が無い!?w
いや、吹き替えで観る観ないではなく吹き替え自体がないと、どうにもマイナー感が否めないというかね。
予算かけないで発売しちゃいました的な。
頼みますよ、販売元さん!w
筆者としては、この点だけが残念でした。(汗)
しかし作品に罪はない。(笑)
皆さんもいかがでしょう? この週末にでも是非!^^
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