【ネタバレ注意】『ガーベラの花言葉は』あとがき
- 2023.01.07
- あとがき

どうも、さかいです!
『ガーベラの花言葉は』楽しんでいただけましたでしょうか?^^
というわけで、あとがきです。
ネタバレ注意です。w
まだ本作を未読な方は是非ともブラウザバックをお願いいたします。^^;
ぶっちゃけ、モトネタは?
特にないのですが、強いて言うなら芥川龍之介の『走れメロス』ですかね。笑
愛する友のため命を賭け奔走する。
みたいな。
所謂、人質モノです。
映画やドラマなんかでもよくある(?)展開です。
加えて時間制限モノとかって既に使い古されたネタだし、どうかなとも思ったんですが。笑
(しかも小説だと、なかなかドキドキ感が伝わらないww)
でも、大抵の場合、『どうせ最後は間に合うんだろ?』みたいに考えてるところがあると思うんですが、今回はそれを見事に裏切ってやりました。笑
マーサ・ホワイトというキャラクター
マーサは“mother”からもじりました。
名字のホワイトは“真っさら”という意味から。
彼女のイメージは世の中の持っている母親像のイメージを具現化して一気に集約したような。
そんなキャラクター造形を目指しました。
物語の展開上、マーサは一時的とはいえリンと香澄にとって母親的立場になる女性。
あの一癖も二癖もあるふたりにとっての母親ってどんなよ?笑
と考えるところから始まりました。
それなりに説得力というか。
そういうのは持たせる必要があったので、その辺りは少し苦労しましたかね。^^;
もしマーサがその辺りに居る普通の中年女性だったら、リンはあそこまで心を開かなかっただろうし香澄なんて尚のこと。笑
なんといっても二人は詐欺師と殺し屋。
警戒心の塊みたいな人種です。
そんじゃそこらのカタギの人間相手には簡単に心を開いたりしません。笑
なので、まずはリンの胃袋を掴むという手段に打って出ました。
グルメな彼女は美味しい料理に目がありません。
これはリンにとっての弱みといってもいい。
特に好物である美味しいスイーツなんか目の前に出されてしまえば、実はリンなんてイチコロなんですね。^^;
で、リンに半ば引きずられる恰好で香澄もなんだかんだ、ズルズルとそのペースに飲まれていってしまう。
挙げ句、最終的には手料理まで振る舞ってしまってますからね。笑
もっとも、この出来事が後々の伏線になっているわけですが。
それに加えて、最後に女性刑務官も表現してますが、マーサという女性には何か内に秘めたる不思議な魅力があったに違いありません。
母に対する憧れ
恐らくですが、香澄とリンは母親の顔を知らないんだと思います。
なので幼少期は寂しい思いをしながら育ったのだと想像します。
そこで現れたのがマーサという女性。
なんとなく漠然と。
二人が無意識下において密かに描き憧れていた母親像。
それがマーサという女性だったのではないかと。
そのイメージがピタリと重ね合わさった。
本当に偶然。
なもんで二人が彼女に心を開くのにも、そう時間はかからなかった。
ということなんだと思います。
短い期間だったとはいえ二人がマーサと過ごした時間。
それはそれは宝物のような。
香澄とリンにとって、かけがえのない時間だったんじゃないかと想像します。
多くは必要ありません。
最後にリンがマーサに向かって口にした一言。
『じゃあね、お母さん』
がすべてを物語っています。
香澄&リンの姉妹ごっこ
これは是非、一度やってみたかった。w
もしも、この二人が本当の姉妹だったら?みたいな。
香澄は普段から、あんな性格なので周りからはどこか勘違いされてしまってる節がある。
なんてイヤな女なんだ!って。笑
いくら美人でも性格悪い女なんて皆、普通なら嫌煙するし距離を置いてしまいますからね。^^;
でも、他人の心を見透かすことのできるリンからしてみれば香澄の人間性は常に見抜いてる。
なので彼女ほど信頼できる先輩はいない。
と、まあ、こうなるわけです。w
一方で香澄はというとリンには普段、冷たい態度。
普段、アウトローで一匹狼の彼女からしてみれば正直、まとわりつかれるのは面倒くさいし迷惑。
リンのことを少し鬱陶しく感じてるわけですね。
でも、本音は違う。
まるで母親のように彼女を叱りつけることもあれば注意だって促す。
悪いことをすれば怒ったりもします。
まったく、この子ったら。しょうがないわね。。
みたいな。
(香澄って子は案外、母性が強いんだと思います)
要は香澄にとってリンは放っておけない存在。
ああ見えてリンのことを誰よりも気にかけてるんですね。
しっかり保護者しちゃってます。
(この辺りは本作でも描かれてますw)
で、こんな二人がもし姉妹だったら?
というのが本作のひとつの見所。
本物の姉妹さながらのやり取りを見せてくれます。
前世じゃ本当の姉妹だったんじゃ???
と思えるくらい。
マーサに『お姉ちゃん』と呼ばれてしまう香澄。
一方、マーサに『おっちょこちょいな妹』認定されてしまうリン。
当然、これは昔、マーサが失ってしまった娘たち。
ドロシーとダニエルの姿を重ね合わせているわけなんですが、これが見事にマッチ。
どんな眼差しでマーサが二人を眺めていたのかと想像すると、なんだか胸が苦しくなります。
ラストでリンに
『やっぱりお姉ちゃんって呼んじゃ駄目ですか?』
と聞かれたのに対し
『駄目』
と一刀両断してしまう香澄。
彼女なりの美学を感じてしまいます。
殺し屋スヌーピー
彼は今回、香澄の協力者として登場する殺し屋です。
本名はチャーリー・ブラウン。
アメリカのコミック『スヌーピー』に登場するキャラクターと同姓同名であることから、この名前がコードネームに。
既にご存知の方も多いでしょうが、チャーリー・ブラウンというのは『スヌーピー』の飼い主なんですね。
部屋に自動式スナイパーライフル、PSG1が置いてあったことから狙撃が得意なのでしょう。
美術館を香澄が襲撃した際に使用していたのも、このPSG1だったので多分、スヌーピーから一時的に拝借してきたんだと思います。
彼はアフリカ系黒人で白のタンクトップ姿。
年齢は30代くらい。
スヌーピーは格闘家のボブ・サップとかシティハンターに登場する海坊主みたいな巨漢ですね。w
多分、退役軍人とか兵役あがりなんだと思います。
どうやら昔は香澄とかなりヤり合ったようです。笑
本業は殺し屋ですが、加えてかなりの情報通であることがうかがえます。
わざわざ香澄が足を運んで頼ってきてるくらいなので、その守備範囲の広さも折り紙付きなのでしょう。
スヌーピーという名前の可愛らしさと、それと相反するキャラ造形が個人的には気に入ってます。笑
(彼のネーミングには直前にブラッドピット主演のブレット・トレインを観ていたのも影響してます。笑)
既に殺し屋の世界から足を洗ってるという境遇も香澄と似通ってます。
(もっとも香澄の場合は半分、まだ片足を突っ込んでる状態ともいえますが。w)
今後、香澄の良き協力者なりライバルなり。
またどこかで彼は登場するかもです。(作者が忘れていなければww)
情報屋オラクル
オラクルというのは預言者とか預言者という意味のようです。
同名のキャラクターが映画『マトリックス』にも登場してましたね。
本作に登場するオラクルは、そんな“予言者”の異名をとる情報屋です。
それだけ彼の取り扱う情報には信頼性があり定評があるのですね。
(風貌はソフト帽にサングラス、ビーチサンダルとだいぶ胡散臭いけどw)
反面、他所に買収されて顧客を裏切るという腹黒さも彼は持ち合わせています。
オラクルは言います。
『情報は未来だ』と。
確かに。
天気予報だって情報の一種。
予め今日は雨だと知っていれば傘でもってしのげる。
そういう意味では情報には未来さえ変えてしまえる力がある。
しかし本作で彼はその力の使い方を間違えた。
リンと香澄にあんな目に遭わされたのは因果応報だし自業自得といえるでしょう。笑
偉そうに講釈を垂れていた彼も自身の未来までは変えられなかった。
何とも皮肉なことです。
彼には今後、自身の取り扱う情報には細心の注意を払ってもらいたいものですね。w
タイトルについて
『ガーベラの花言葉は』は本当、直前になって思いつきました。^^;
まず候補として考えたのは本作は時間制限モノであったことから『タイムス・オブ・ロスト』やら『遅すぎた真実』やら。
ほぼ前者で決定していたんですけど、なんだかしっくりこない。
『タイムス』は『タイム』の複数形で『遅すぎた』とか『時間切れ』とか『過去』とか色々な意味を込めて使う予定でした。
本作はカウントダウンものというか死刑執行までの時間制限を取り扱ったストーリーだったので、これはこれでよかったのですが、少しテーマとズレているというか。
伝えたかったテーマと何か違う。
一方、『遅すぎた真実』だと既に『間に合わなかった』という事実がネタバレになってしもとる(笑)のと自分がもし読者の立場だったらと想像してみたら単純に面白そうに感じない。(笑)
法廷モノ???とか思って身構えちゃいますよね。
堅苦しいというかなんというか。
つけるからには、なんとなくワクワクしそうなタイトルじゃないと意味がない。(これってかなり重要!)
著者である自分がワクワクしないんじゃ読んでくれる人はワクワクするわけなんてない。
どうしたものかと考えあぐねていたところ、なんとなく家のアレクサの液晶画面に『今日の花言葉は』みたいな表示が出ていて思わず『これだ!』と。笑
本当、どこにヒントって転がってるかわからんですね。^^;
実のところ特に意識することもなく本作のなかでガーベラという花を登場させていたのですが、後々、考えてみたらこれって結構、重要というかマーサにとってのメタファーというか分身みたいな立て付けだったんだなあと。
ぶっちゃけ後になって気づいたというね。笑
ネーミング的には『ひぐらしのなく頃に』とかの名前の付け方に似てますかね。
所謂、途中で文章をぶつ切りにするタイプ。
『ガーベラの花言葉は』って聞いちゃうと、その先が少し気になるというか。
結局、花言葉は何なんだ!?ってなっちゃいますよね?
ありがとうございます、それが狙いです。ww
どうも調べてみるとガーベラの花言葉って色にもよるみたいなんですが『感謝』とか、そういうのみたいです。
ちなみに本作はアメリカが舞台なので海外の花言葉を採用しております。
『感謝』というキーワードは本作のテーマのひとつでもあるので、これ以上ないというくらいの比喩。
即採用に至りました。w
『花言葉は~』の先が気になるという点でもワクワクさは辛うじて残ってる。笑
もともと名前つけるのが、あまり得意な方じゃないので、こういう作品のタイトルとかって本当にいつも頭を悩ませてます。^^;
今作で最も描きたかったシーン
まず本作を執筆するにあたって最初に頭に思い浮かんだのは、自分たちにとって誰か大切な人物の冤罪を晴らすべく、残り少ない制限時間のあるなか懸命に奔走するリンと香澄の姿でした。
その大切な人物というのは言うまでもなくマーサだったわけですが、そのシーンばかりが印象的でその場面が一番描きたいというのが根底にありました。
それさえ描ければいいとさえ思ってました。笑
逆にそれ以外の要素はどうでもよかった。^^;
なので中盤の事件解決までの道筋は完全なる後付け。
マーサの冤罪を晴らしていくまでの過程は単なる都合でした。
とはいえ適当に構成するわけにもいかなかったので、この部分はだいぶ頭を捻りました。
自分のなかで所謂、普通の警察的(?)な捜査方法というのはあり得なかった。
リンと香澄という二大巨塔(笑)を動かすからには、ふたりとの詐欺師と殺し屋としてのスキル。
それらを最大限に活用し事件を解決していかなければならないという制限つきでした。
結果、ああいった感じの捜査方法になったわけですが(笑)もっと謎解き部分に緻密さがあったら深みが出たのかなというのもあったので、この点は減点だし反省点ですかね。。。^^;
今後の課題です。w
物語のその後は……?
これは風の噂ですが二人が近隣に立ち寄った際、お墓参りは欠かさないそうですよ。^^
勿論、ガーベラの花を携えて。

というわけで、如何だったでしょうか?
『ガーベラの花言葉は』
面白かったよ!!
って思ってくださった方も、
うーん、微妙だったかなー。
という方も
何これ?意味わかんね。
という方も。
色々な感想、ご意見があったかと思います。笑
それらすべて、さかいにとって貴重な財産です。^^
これからも一人の方にでも多く楽しんでいただける作品作りを心がけていきたいと思いますので、どうか生暖かい目で見守ってやってください。mm
あ、それと是非是非、作品についてのレビューも書いていただけたら嬉しいです!(切実)^^;
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