【小説マメ】倒叙ミステリって何? 推理ミステリとの違いとは?
- 2020.08.05
- 小説マメ知識

皆さんはミステリ小説にも様々なジャンルがあるってご存知ですか?
今回、ご紹介するのは、そんなジャンルの中のひとつ。
倒叙(とうじょ)ミステリです。← 最初、どう読んでいいのかわからんくて調べた奴。(笑)
実は筆者は、この倒叙ミステリというジャンルが大好きです。(笑)
では、この倒叙ミステリとは何なのか?
ズバリ、犯人側から語られるミステリのことを指します。
わかりやすい例としては、
「えへへ~今泉くん」でお馴染みのTVドラマ『古畑任三郎』

や
「うちのカミさんがね」の名文句で有名な『刑事コロンボ』※ちなみにコロンボのカミさんが登場した回は一度もなし。(笑)

なんかが、その代表例でしょうか。
犯罪事件を捜査する側の視点で描かれているのが本格ミステリとよばれるものですが、倒叙(とうじょ)ミステリとは、その逆の視点からというわけですね。
倒叙とは「引っ繰り返ったミステリ」という意味です。
犯人側からの視点なので、まず犯行計画に始まり、準備、決行の順で描かれていくのが通例です。
予め犯人が誰なのか、その目的、手段が読者に明かされているので、楽しみは謎解きとは別なところにあります。
犯人によって緻密に計算された犯行を如何に探偵役に崩されていくのか。
その過程を見守ることに倒叙ミステリの醍醐味があるというわけ。w
一件、読者からは完璧に見える計画でも、犯人は必ずといっていいほどミスを冒しているわけで、それを探偵役がどこでどのようにして気がつくのか。
世界初の倒叙ミステリはR・A・フリーマンが1910年に出した短編『オスカー・ブロズキー事件』が始まりだと言われています。
シャーロック・ホームズ全盛期だった同時期としては、犯人側から語られる視点と、その犯行を見破る名探偵ソーンダイク博士の科学捜査は実に斬新にして当時の読者たちを存分に驚かせたはずです。
読者の視点を探偵から犯人側に移すなんて、まさに目から鱗!
いつの時代も斜め上をいく作品はあるものですね。^^;
この作品がなければ、古畑任三郎も刑事コロンボも存在しえなかったかも知れません。

倒叙ミステリの仕掛け
既に確立された常識や通例を打ち破っていくのもミステリの常道です。
倒叙ミステリの場合も、様々にアレンジすることが可能です。
たとえば大きくご紹介しますと。。。
○共犯者視点から語られるという手法。
⇒犯行の要点を明かしても主犯が犯行を如何に行ったかを謎にできる。
○犯人が書いた犯行計画書を作品の冒頭に置く
⇒どれだけ計画が完全なものかをまず印象づけて、実際の犯行との相違点が鍵になる。
重要なのは、「倒叙ミステリ」は「本格ミステリ」の一種であるということ。
犯人が緻密な計画を立てて、それを如何に探偵役が崩していくか。
語り手が違うだけで、プロットと興味の中心が大きく変化するわけですね。
かくも深きかなミステリの世界。
さて、さていかがでしたでしょうか。
皆さんは、どんなジャンルのミステリが好きですか?^^
※参考文献『ゲームシナリオのためのミステリ』
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