【世界の名銃】シティハンター、冴羽僚も愛したコルト・パイソンとは?

【世界の名銃】シティハンター、冴羽僚も愛したコルト・パイソンとは?

皆さんはコルト・パイソンはご存知ですか?

そう、言わずと知れた名作漫画『シティハンター』に登場する主人公、冴羽僚の愛銃としても名を馳せた名銃のなかの名銃です。

今回はそんなコルト・パイソンにスポットを当てていきたいと思います。

概要

コルト・パイソン(英: Colt Python)は、1955年にアメリカのコルト社が開発した回転式拳銃である。

当時のコルト社の副社長、フィリップ・シュワルツが命名したパイソンの名称は英語でニシキヘビを意味する。

コブラ、キングコブラ、ダイアモンドバック、アナコンダと並び、商品名に蛇の名前を冠するシリーズの1つである。

Wikipediaより引用

開発に至った経緯

コルト・パイソンは

コルト社のトップセールスマン、ビル・ヘンリーの

「最上級のターゲットリボルバーを製品化すべきだ!」

という主張を受け、ガンスミス、アドルベルト・アル・ギュンターを責任者として開発が進められます。

1953年に完成した試作モデルを経て、第二次世界大戦中に同社が開発したプレミアムモデルリボルバー、コルト.357を元にしたプリプロダクションモデルが同社のマスターガンスミス、アル・デジョンによって製作されることに。

その後、1955年に同社が

「.357マグナム弾を発射できる」

高級ターゲットリボルバーとして発表。

初めに6インチ、次に2.5インチと4インチの銃身を持つものが発売。

後に8インチの「パイソンハンター」も制作。

また、コンバットパイソンと呼ばれる3インチモデルも存在します。

手作業での調整箇所が多く、生産しにくい構造ながら、その関係で仕上げも念入りに施されていたため、ライバルメーカーであるS&W社などの製品と比較しても高価格となっています。

そのため、

リボルバーのロールス・ロイス

とも呼ばれています。

その後、高価格ながら各種の特徴を支持するユーザーも現れ、コルト社は廉価版として使用弾薬を.38スペシャル弾・.22LR弾に変更した

コルト・ダイアモンドバック

という一回り小さいフレームを使用したリボルバーも発売。

また、.22LR弾や.41マグナム弾、.44口径のパイソンも試作されたと言われますが、製品化には至っていません。

(44口径のパイソンとか個人的には見てみたかったです。笑)

1999年10月、同社は販売減少と製造費高騰を理由として同モデルの生産停止を発表。

しかしながら、2001年と2003年には少数生産が。

2005年には50周年記念モデルの限定生産が行われ、更に2020年1月にステンレス鋼製の4.25インチと6インチ銃身モデルがリニューアル再販開始されました。

現在でも根強い人気を誇る同モデルならではのエピソードですよね。

特徴

フレームのサイズはIフレーム。

弾薬は、.357マグナム弾を撃つことができ、.38スペシャル弾も使用可能。

(口径サイズ的には双方、同じなので銃によっては併用できます)

発砲の反動による銃口の跳ね上がりを抑える重量物として、銃口部まで延長されたエジェクターロッドハウジング、ピン止めされた交換可能なランプタイプの照星と上下微調整可能な照門などの外観を持ち、精度向上のために熟練工が1丁1丁調整を手作業で行っています。

※ちなみに当時の職人は既に現場を退いてしまっており、そのため現在では完璧な再現は不可能であるとも言われています。(ある意味、ロストテクノロジ-?)

銃身上部にはベンチレーテッドリブ(放熱板)と呼ばれる梁状の構造を持ち、銃身加熱による陽炎を防ぐための実用的な構造であるといわれていますが、

実際は

「放熱の効果はないだろうが、あった方が銃の見栄えが良くなる」

とする見解も。

スコープを装備するモデルでは、ベンチレーテッドリブがスコープをマウントする取り付け台として利用されています。

ファイアリングピン(撃針)はフレーム側に設けられ、ハンマーはワイドチェッカードタイプ。

トリガーはセレーション(滑り止め)が入れられ、シングル・アクションでの射撃に適しています。

グリップは美しいRを描く木製のサードタイプのチェッカードオーバーサイズグリップ(4インチモデル、6インチモデル)、もしくは小型のチェッカードグリップ(2.5インチモデル)が存在。

又、極初期のモデルはフロントサイトがやや低く、レッドインサートが入っており、リアサイトも面がフラットなAccroタイプだったようです。

グリップも全面にチェッカリングの入ったフルチェッカードグリップとなってます。

初期の仕上げは「コルトロイヤルブルーフィニッシュ」と呼ばれ、スチールフレームの表面に腐食を防ぐ目的で黒錆を発生させる「ガンブルー」という表面処理が施された深みのある青を帯びた黒色だったと言われています。

外観だけではなく内部も入念に仕上げられており、コルト社の他のリボルバーよりは引き金の感触が良いとされていますが、1890年代に生まれたメカニズムから殆ど進化していないようです。

そのため、アクションでの射撃時の感触はスムーズでは無い上に前述のコッキングし易いワイドスパーハンマーやストロークが短くキレの良いトリガー等、ダブルアクションよりもシングルアクション(撃つ直前に撃鉄を起こす)で射撃する事を主体としている仕様に繋がっているとされます。

更に表面仕上げは前述のアル・デジョン等のコルトの熟練工が引退するにつれ、仕上げが荒くなり品質が落ちていったと言われており、仕上げの状態が良い個体や、熟練工在籍時の初期生産品はコレクターの間で高値で取引されています。

又、通常はフレームの素材はスチールですが、同じく錆に強いステンレス製のフレームも存在。

コルト社の採用している引き金の機構はS&W社のものと比較して扱いにくいため、S&W M19やS&W M586のフレームにパイソンの銃身を組み合わせた「スマイソン」や「スモルト」と呼ばれる派生型モデルがデイビス社の手で製作されたこともあります。

この辺りを平気でやってしまうところは実にアメリカ的とも言えますよね。(笑)

また、非常に珍しいコルト社公認モデルとして、キングコブラのフレームにパイソンのバレルを組み合わせた「コルト・グリズリー(Grizzly)」があり、刻印も”Colt Grizzly”に変更されています。

これ以外にも、パイソンの銃身に別のフレームをつけるというカスタムモデルがいくつか存在します。

バリエーション

コルト・キングコブラ

同社のコルト・トルーパーの後継として登場。

パイソンと同じく.357マグナム弾を使用するリボルバーです。

マグナム弾に対する耐久性を従来の同社のリボルバーより意識しており、フレームには錆びに強いステンレス素材を採用。

そのため、素材の色でもあるシルバーカラーが標準仕上げとなっていますが、表面にガンブルー塗装が施されたものも存在。

銃身長には2.5インチ・4インチ・6インチ・8インチの4種類があります。

ちなみにコルトのリボルバーの中では、さかいはキングコブラが一番、好きです。(笑)

コルト・アナコンダ

キングコブラの生産終了後である1990年に「コルト社初の.44マグナム」として発表された「MK-Vシリーズ」の大型リボルバー。

同社のパイソンをはじめとする蛇の名前を冠するリボルバーの一つになります。

コルト社製のリボルバーフレームの中では最大であるAAフレームを採用。

.44マグナム弾の他に.45LC弾を使用するものも製造されたが、.44マグナムを使用するリボルバーとしては、他の銃器メーカーと比較して発売が遅れたためか影の薄い存在になっているという悲劇的なモデル。

外観はパイソンに似ているものの、内部機構はキングコブラを基本としているため、パイソンよりも生産コストを削減することに成功しています。

なお、実銃のアナコンダのボディーはすべてステンレス素材で製造されており、キングコブラのようにガンブルー塗装が施されたものは製造されていません。

グリップは木製のものとラバー製のものが存在。

コルト・パイソンハンター

1980年に登場したパイソンの8インチ銃身モデル。

木製グリップを標準装着していた従来のモデルとは違ってラバーグリップを標準装着し、LEOPOLD製ピストルスコープがベンチレーテッドリブに搭載、アルミ製アタッシュケースに入った状態で限定販売されました。

通常の8インチモデルは銃身の刻印が他モデルと同じ”PYTHON 357″ですが、スコープ付モデルのみ刻印が”PYTHON HUNTER”となっています。

なお、1995年に日本で起きた警察庁長官狙撃事件では、.357マグナムのホローポイント弾3発が発射されており、使われた銃器はパイソンハンターだったとも言わています。

コルト・コンバットパイソン

1980年代後半に登場したパイソンの3インチモデル。

S&W社やスターム・ルガー社などのライバル会社が生産している3インチリボルバーに対抗し発売。

また、カリフォルニア・ハイウェイ・パトロールが注文し、同モデルをベースにして生産された「パイソン・カリフォルニア・コンバット」というモデルも存在するとされます。

コルト・ダイアモンドバック

1966年に登場したパイソンの廉価版にあたるモデル。

名称の由来は背中にダイヤ模様のあるガラガラヘビの一種。

外見こそパイソンと同様ですが、全体的に小型になってます。

又、強度の問題と弾薬の全長の違いからシリンダーの前後長は短く.38スペシャル弾専用となっており、.357マグナム弾は使用できません。

パイソンのようなロイヤルブルーフィニッシュではなく、普及品レベルの仕上げとすることで生産コストを抑えてあります。

銃身長は2.5インチ、4インチ、6インチがあるほか、.22LR弾を使用するモデルも存在。

しかし、パイソンより安価といっても他社製のリボルバーと比較すると高価であった事もあって、1989年に生産が終了しています。

ちなみに余談ですが、冴羽僚の使用しているコルト・パイソンは『ワン・オブ・サウザンド』(1/1000?)というカスタム銃で、真柴憲一郎という伝説のガンスミスによって調整されているのだとか。

楽器や車の品質にも個体差があるのと一緒で、銃にも希に特に優れた性能を持つモデルが存在するという理屈のようです。

勿論、漫画の設定ではありますが、少ないながらにも実際にそういった例はあるようです。

銃のプロフェッショナルにはプロフェッショナルの調整した銃こそ相応しい。

ということでしょうか。

皆さんは、どう思われましたか?^^

参考文献:Wikipedia