【小説技法】ミステリー小説のトリック『密室殺人』を紐解く

【小説技法】ミステリー小説のトリック『密室殺人』を紐解く

どうも、さかいです!

皆さんは密室殺人と聞いて何を思い浮かべますか?

名探偵コ○ン? 金田○少年でしょうか。w

それだけ、推理小説、最近では推理漫画なんかでも、すっかりとお馴染みのトリックですよね?

今回は

そもそも密室トリックとは何ぞや?

から始まり、その起源や種類なんかについて色々と紐解いていきたいと思います。^^

密室トリックを扱った作品を執筆しようとしている方は必見です!w

『密室』の定義とは?

密閉された部屋のことである。

密閉と言っても空気を遮断しているという意味ではなく(その場合には気密室などと言う)、外部から人が侵入出来ないという意味である。

ただし、出入口がないわけではない。

密室が問題になるのは、中に誰かがいるからであり、その人がそこにいるためには、どこからか入らなくてはいけないからである。

従って、最初の入室時には出入り口があったのだが、なんらかの事情があってそれが閉ざされ、誰も入れなくなったのである。

入れなくなった事情は様々で、鍵がかかっていた、外から監視されていた等に始まって、雪崩により閉ざされた、溶接された等も含む。

特定の時間にその部屋が密室であり、従って侵入できないことが明らかになれば、いわゆるアリバイとなる。

Wikipedia参照

つまり、密室とは施錠されてる、常に誰かに見張られているなど、人の出入りが不可能な部屋。

その密室で内で殺人が実行されながら、発見時に犯人の姿が部屋に無く、かつ、鍵も内側から完全に施錠されている。

所謂、これが密室殺人です。

例外として、殺人ではないものの、アルセーヌ・ルパンなんかを代表とした『怪盗』が活躍する小説では、怪盗がいかに監視の目をかいくぐって、盗みを働き逃亡をはかるかがトリックとして使われます。

これも歴とした密室トリックです。(笑)

うーん、この概念を作り出した、ルパンの著者、モーリス・ルブランはマジで天才!

さらに、雪や砂浜など足跡がつくはずの場所で犯行が行われたにもかかわらず、被害者の足跡しか残っていないというケースも、密室型の発展型として扱われることがあります。

※このケースは『雪の密室』などの言葉で表現されます。

『密室殺人』の歴史

古くは、史上初の本格推理小説とされている、エドガー・アラン・ポー著『モルグ街の殺人』から密室殺人は登場します。

それ以降は、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』、エラリー・クイーン、アガサ・クリスティといった推理小説の巨匠たちも軒並み、この密室殺人を扱ってきました。

その中でも、ジョン・ディスクン・カーは『密室殺人の帝王』と呼ばれるくらい、多くの密室トリックを考案。

(帝王と呼ばれていたかは知らんけど。(笑))

日本の作家たちにも多大な影響を与えています。

その日本では、江戸川乱歩が処女作の『D坂の殺人事件』で密室殺人を登場させたのを皮切りに、横溝正史『本陣殺人事件』など、様々な密室推理が登場することに。

主な密室トリックの分類

先述した『密室殺人の帝王』こと、ジョン・ディクスン・カーは『三つの棺』という小説の中で、探偵として登場するギデオン・フェル博士に推理小説で描かれてきた密室トリックを分類させたのだそうな。

■犯人が密室の中にいないパターン

  • 偶然が重なって殺人のように見えた
  • 外部から被害者を自殺などに追い込んだ
  • 室内に隠された装置によって殺害した
  • 既に死んでる被害者を密室内でまだ生きてるように偽装した
  • 密室外部での犯行を内部の犯行に偽装した
  • まだ生きている被害者を死んでいるかのように見せかけ、後から殺害した

■鍵が中からかけられているパターン

  • 鍵穴に鍵を差し込んだまま偽装
  • ドアの蝶番を外した
  • 差し金に細工した
  • カンヌキや掛けがねを落とす仕掛けを作った
  • 外から鍵をかけ、犯行発見時に中からかかっていたように見せかけた

ほぼ、現代で用いられる密室トリックの王道ほとんどを網羅しているのがわかりますね。(笑)

逆に、このパターンを逸脱してのトリック作りには少々、骨が折れそうです。

いかにジョン・ディクスン・カーが、今日における密室トリック小説に、その影響を与えたかがわかります。

ちなみに、クレイトン・ロースンは『帽子から飛び出した死』で、カーの密室講義を引用したうえで、『犯人は密室内から出ていない』といった新解釈を生み出しました。

(この解釈、個人的には映画『SAW』の一作目のオチを思い出してしまいました。(笑))

さてさて、いかがでしたでしょうか?

『密室トリック』と一言で表現しても、著者や作品によって、いかに幅広く用いられているか。

その種類の多さに改めて驚かされますよね?(笑)

もはや、ひとつの発明といっても過言ではない。w

何故ゆえに、人は『密室』に魅了されるのか。

かくも深きかな密室の世界。(なんか卑猥に聞こえるな。(笑))

あなたにとって印象的だった『密室トリック』は、どんなものがありますか?^^

※参考文献:ゲームシナリオのためのミステリ事典